
競馬ファンなら一度はこんな経験、ありませんか?
「馬体重が増えてる…太ったのかな?」「減ってるから絞れて好調?」
実はその見方、ちょっと危険かもしれません。
馬体重の増減は、馬の調子や成長、陣営の意図までも見抜けるヒントが詰まっています。
でも、正しく読み取れないと、好調馬を見逃したり、危険な人気馬を過信したりすることもあります…。
この記事では、馬体重からわかる基本的な判断材料を押さえつつ、特に「その日の馬の調子・状態」に焦点を当てた馬体重の見方を実例付きで徹底解説します!
馬体重からわかる3つのこと【まずは基礎を押さえよう】

馬体重からわかることは、馬の調子・状態だけではありません。
先ずは馬体重からわかることを基礎として抑えておきましょう。
① 馬の調子(コンディション)
調子のバロメーターとして、前走との比較は基本中の基本です。
「前走より+12kg」「−22kg」と聞くと、つい数字だけに目が行きがちですが、実際には、食欲や筋肉の張り、疲労具合など、馬の体調が数字ににじみ出てきます。
ここを読み解くことが、馬体診断的には非常に重要な予想のファクターになると思っています。
この記事ではこの調子に焦点を当てて具体的な見方を説明します。
② コース適性
レース距離やコースによっても調整の仕方は変わります。
例えば、短距離でスピード勝負のときはスリムに、中長距離ではある程度の余裕を残して出てくることも。
「開催場所」や「輸送の有無」を考慮して調整することもあります。
また、そもそもの馬体重がコース適性に大きく影響することもあります。
(長距離馬は馬体重が軽い、短距離馬は重いなど)
馬体重別の適性に関しては過去にも書いたことがあるため、よければご参考に🙇♂️
③ 成長の証(特に若駒)
特に3歳春までは馬が大人になっていく途中段階。
体重が増えていたら「太った!」ではなく、「成長したのかも?」と一度立ち止まることが大切です。
馬体重増減の見方【基礎編】
基本的に競馬予想をする際、馬体重を参考にする方は、レース直前に発表される馬体重変動を確認する人が多いとお思います。
以下に考えられる要因を記載します。
▶ 増えていた場合(+10kg以上)
【ポジティブ要素】
- 成長やトレーニングによる筋肉増加
- 休み明けからのしっかり仕上げ
【ネガティブ要素】
- 単なる太め残り
- 調教不足、緩んだまま出走
▶ 減っていた場合(−10kg以上)
【ポジティブ要素】
- 無駄な肉が削ぎ落とされ、絞れてきた
- コース適性を判断したあえての調整
【ネガティブ要素】
- 輸送のストレス
- 詰まったローテでの疲れ
- 食が細くなっている可能性
馬体重増減の見方【応用編:数字の裏にある真実を見抜く】

ここからが本題!!
馬体重の変動は「増えたから太った」「減ったから疲れてる」とは限りません。
大事なのは、「なぜそうなったか」まで読み解くことです。
馬体重変動が±10㎏以上となると少し不安になる方も多いと思います。
その不安も「なぜそうなったか」まで読み解くことで自信をもって採取を判断できるようになります。
その「なぜそうなったか」を考えるために、ひとつ大切なポイントがあります。それが――
調教後の馬体重(追い切り後の馬体重)と合わせて確認すること
JRAが公式で公表している「調教後馬体重」は、出走当日の馬体重と比較することで、直前の変化=輸送や直前のコンディション変化を読み取るヒントになります。
また、その馬の好走時の馬体重との比較やパドックチェックなどと合わせて考えることでより考察が深まります。
数値だけで判断せず、調教後の馬体重や過去の好走時の馬体重なども含めて考察することで、予想に役立つ判断ができるはずです。
実例紹介|馬体重の変化が結果にどう出たか?
実際に「馬体重がどう変化して」「どう走ったのか」を見れば、理屈よりずっとわかりやすくなります。
ここでは、参考になる実例を3頭紹介します。
【凡走例1】馬名:ドゥラエレーデ
- レース:24年フェブラリーS
- 結果:12着(3番人気)
- 前走馬体重:510kg → 調教後:532㎏ → 当日:514kg(前走比較+4kg、調教後から‐18㎏)
- 凡走理由:輸送による影響の可能性大(輸送を考慮した仕上げだとしても減り過ぎ)
- ポイント:当日の表記(前走との比較)だけなら⁺4㎏となるため調教後馬体重を知らないと気づけない
【凡走例2】馬名:ステレンボッシュ
- レース:25年大阪杯
- 結果:13着(3番人気)
- 前走馬体重:464kg → 調教後:475㎏ → 当日:460kg(前走比較‐4kg、調教後から‐15㎏)
- 凡走理由:輸送による影響の可能性大(輸送を考慮した仕上げだとしても減り過ぎ)
- ポイント:当日の表記(前走との比較)だけなら‐4㎏となるため調教後馬体重を知らないと気づけない
【好走例1】馬名:ルージュエヴァイユ
- レース:24年大阪杯
- 結果:3着(11番人気)
- 前走馬体重:478kg → 調教後:464㎏ → 当日:464kg(前走比較‐14kg、調教後から0㎏)
- 好走理由:調教後から変化なしのため究極仕上げの可能性大、好走時馬体重と近い
- ポイント:調教後の時点で絞れており輸送の影響ではないことが確認できる
凡走馬はいずれも人気馬、好走馬は穴馬を例に持ってきました。
もちろん、これらはあくまで可能性の一つにすぎません。
しかし、逆に言えば好走・凡走の一因であることは間違いないでしょう。
まとめ|馬体重から調子を見極める3つの鉄則

最後に、馬体重から調子を見抜くときに大切な「3つの鉄則」をまとめます。
- 馬体重増減は調教後から何㎏増減したかを確認(実例で紹介した通り)
- その馬のベスト馬体重を知っておく(増減は気にせずここを知っておくだけでも価値あり)
- 調教内容・パドック気配・レース間隔など、他のファクターと併せてチェック
予想の際、馬体重を気にする方は数字の増減だけに振り回されると、大きな落とし穴にハマってしまいます。
でも、馬体重の“中身”を読み解ければ、他人より一歩先の予想ができる武器になるはずです。